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メデューサファイル・1

 蒼空澄みわたり海とつがう。
天と海との境すら定かではなく、まるで永遠がそこに横たわっているかのようだ。

 中天に太陽があり、全てが煌めいている。
風は涼やかな草原の香を運ぶ。鳥は軽やか舞い、遥か空の高みを行く。
生きとし生けるものへの祝福に満ちた時間が、緩やかにたゆたっている。

 全てはあるがままに。
ただ、あるがままにある。それだけで万物は祝福されてある。
されど……。

 青天に虹が立ち昇る。
虹が垂直に太陽と大地を繋ぐ。
夢幻の如き七色の光の柱が屹立する。

 エーゲ海を臨む海辺の街で、ひとりの少年が、この不思議な虹を見上げていた。
好奇心に満ちた少年は、その虹の立ち上る根源に強くひかれた。
そして、少年は走り出す。

 人々で賑わう市場を抜け、緑なすオリーブ畑を越え、なだらかな丘の麓の牧草地を駆け抜ける。
滴る汗を拭おうともせず、飛沫をあげて小川を蹴散らして、街の境を越えてどこまでも虹を目指す。

 たぎり立つ好奇心に胸を焦がし、未知なるものを追い求める。
ただひたすらに、ただひたむきに、少年は走り続ける。未知なるものへの憧憬のみに心満たされて。

 光の屈折による現象であり、実態の無い幻であるはずであった。
届かぬ想いであるはずだった。
しかし、この時、少年は虹の根源にたどり着いた。

 丘の上の荒涼たる岩場の真中から、虹が屹立していた。
その根源たる光の卵から、天空に向かい七色の光が立ち昇っている。
虹蛇の卵がそこにあった。
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